
新事業企画の「3つの目の付け所」
- 時流に乗るテーマの主流技術を活用
- 主流技術から生まれる「隙間」を狙う
- 衰退業種を新視点で見直す
① 時流に乗るテーマの主流技術を活用する
(イノベーション:主流技術を実用的に応用する)
- 例)生成AI × 顧客サポートサービス
- チャットGPTを使い、中小企業向けに低コストのAI顧客対応サービスを展開。
- AIが初期対応を担うことで、企業の人件費を削減できる。
- マーケティング(新しいアプローチ):
- 人手不足」「人件費削減」という課題を明確に打ち出し、地域の商工会などを巻き込み信頼を得る。
② 主流技術から生まれる「隙間」を狙う
(イノベーション:主流技術ではカバーしきれない課題を補完する)
- 例)EV普及 × 中古バッテリー再利用サービス
- EV(電気自動車)普及に伴って大量に出る中古バッテリーを回収・再生し、
災害用電源や家庭向け蓄電池として再利用する事業。
- EV(電気自動車)普及に伴って大量に出る中古バッテリーを回収・再生し、
- マーケティング(新しいアプローチ)
- 「廃棄物削減」「環境保護」というSDGsの視点で行政と協力し、環境問題意識が高い層にアピール。
③ 衰退業種を新視点で見直す
(イノベーション:衰退業種を新しい考え方や行動で再定義する)
- 例)銭湯(公衆浴場)× コワーキングスペース化
- 昔ながらの銭湯を改修し、「サウナ」「リラクゼーション」「リモートワーク可能なコワーキングスペース」として
再生する事業。 - 「古くて新しい場」として、新世代をターゲットに再定義。
- 昔ながらの銭湯を改修し、「サウナ」「リラクゼーション」「リモートワーク可能なコワーキングスペース」として
- マーケティング(新しいアプローチ)
- SNSを使い、銭湯×仕事という新しいライフスタイル提案を発信。若者層を中心に口コミで拡散を狙う。
【実践的な手順・戦略】
- 目の付け所を明確にする(テーマ選定)
o 時流(世の中の大きな流れ)を読み、選ぶ。
o 「技術的革新があるか?」「隙間があるか?」「衰退業種の再定義は可能か?」を判断する。 - イノベーションの明確化
o 技術(AIやEVなど)
o サービス(新しい提供方法)
o 考え方や行動(ライフスタイルや文化を変える) - マーケティングでの差別化
o 誰にどのような価値を提供するのかを具体的に打ち出す。
o 新たな価値観や体験を提案するアプローチで市場を創造する。
🔰【初心者向けのまとめポイント】
• 時流に乗った技術を活用する。
• 主流技術ではカバーされないニッチな課題を狙う。
• 時代遅れと思われる業種を、現代のニーズで再定義する。
この3つの視点を組み合わせることで、具体的で実践的な事業企画が可能になります。
📌成長産業に付随する「隙間業種」こそ狙い目の理由
• 主流業種に比べて競争が少なく、参入コストが低い
• 主流業種が伸びることで自動的に需要が拡大する
• 大手企業が積極参入しないため、差別化しやすい
【具体的な隙間業種の例】
①【主流】EV(電気自動車)産業
↓
【隙間】EV充電器の設置・メンテナンス業
• 充電器本体製造は大手だが、地域密着の施工・メンテナンスは大企業が進出しにくい。
• 地域ごとの行政補助を活用でき、初期投資も抑えられる。
②【主流】生成AI・ChatGPT関連産業
↓
【隙間】AIチャットプロンプト(指示文)作成代行業
• AIを使う側がうまく指示文を作れないケースが多く、そこを専門的にサポートする業種。
• 特別な設備投資は不要で、知識やノウハウの蓄積だけで参入可能。
③【主流】ドローン産業
↓
【隙間】ドローン操縦者の育成・講習業務
• ドローン操縦者が不足しており、その養成機関が少ないため隙間になる。
• 自治体や企業向けの研修事業として、小規模かつ専門的に行える。
④【主流】ネット通販市場の急成長
↓
【隙間】通販返品商品の再販売・アウトレット事業
• ECが成長するほど返品も増加。その再販を専門に扱うニッチ市場。
• 返品品再販のノウハウを貯めれば、安定的かつ収益性が高い。
⑤【主流】動画配信・YouTube市場の拡大
↓
【隙間】動画編集サムネイル特化型デザイン業
• 本格的な映像制作ではなく、サムネイルだけを専門的に請け負う。
• 少人数で運営可能で、継続的に需要が増える。
成功への実践ステップ
① 隙間の市場を発見する
• 主流産業をリサーチし、附属的・補完的な小規模業務に注目。
② 参入障壁とコストを確認する
• 参入コストや難易度が低く、個人~少人数で参入できるか確認。
③ ノウハウ蓄積と差別化
• 技術や設備ではなく、「知識・情報・対応力」で差別化を図る。
④ マーケティング戦略
• 主流産業の関係者や顧客に直接アプローチすることで、効率的に販路を開拓。
まとめのポイント
「主流」ではなく「隙間」を狙うことで、
• 小さく始めて、大きく伸ばす。
• 大手が気づいていない(または無視する)領域で着実にシェアを取る。
まさにタイパ・コスパの良い戦略です。
時流の軸:SDGsが生み出す事業チャンス
SDGsが後押しする主な分野:
• 循環型経済(リユース・リサイクル)
• クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)
• 脱炭素(冷却・エネルギー効率化)
こうした主流技術・産業の関連分野に、参入障壁が低い隙間ビジネスが生まれています。
①【循環型経済】リユース業の成功例:「エコリング」
• 主流技術・産業:
o メルカリなど「CtoCリユースプラットフォーム」の普及。
o 中古品市場の急成長。
• 隙間(エコリングの着眼点):
o フリマアプリを利用できない、または面倒な「中高年層」をターゲットに店舗型・訪問型で買取り。
o 自宅の不用品をまるごと査定・買い取りサービスで顧客の利便性を追求。
• イノベーション(サービス・行動の革新):
o ネット対応が苦手な世代をサポートすることで「非デジタル層」を取り込み成功。
• マーケティングのポイント(新しいアプローチ):
o 「捨てるものに価値がある」というコンセプトを、地域密着で丁寧な対応を重視し展開。
o 高齢化社会で需要が伸びる市場を早期に発見。
②【再生可能エネルギー】ペロブスカイト太陽電池と積水化学関連の隙間
- 主流技術・産業:
- 太陽光発電が一般化するなか、次世代型太陽電池として注目の「ペロブスカイト太陽電池」(軽量で安価、高効率)を
積水化学が実用化へ。
- 太陽光発電が一般化するなか、次世代型太陽電池として注目の「ペロブスカイト太陽電池」(軽量で安価、高効率)を
- 隙間の着眼点(狙い目):
- ペロブスカイト電池の普及に伴い「メンテナンス」「設置施工」「中古品管理・再販」の需要が発生。
- 主流メーカーは製造に特化するため、地域ごとの保守メンテナンス事業に参入機会が生じる。
- イノベーション(サービスの革新):
- ペロブスカイト太陽電池特化型の軽量設置システムや中古品流通マーケット構築。
- マーケティングのポイント(新しいアプローチ):
- 地域密着で再エネ普及やSDGs推進を行政や地域企業と協力し、環境意識の高い顧客を掴む。
③【脱炭素・省エネ技術】冷蔵・冷凍業界の新モデル「ZEROKO」
- 主流技術・産業:
- 食品ロス削減やCO₂排出削減が重要視され、冷蔵・冷凍技術が省エネ化・スマート化。
- 隙間の着眼点(狙い目):
- ZEROKOは冷蔵庫を持たず、必要な量だけその都度配送し、食品ロスとエネルギー消費を削減。
- 「冷蔵庫のない暮らし」という逆転の発想で新たなライフスタイルを提案。
- イノベーション(考え方・行動の革新):
- 「冷やす場所を各家庭から集約拠点に集中」させ、無駄を徹底的に削減する物流システム。
- マーケティングのポイント(新しいアプローチ):
- 環境意識の高い若年層をターゲットに、「手間を減らしながら環境貢献」をSNS等でPR。
- SDGs意識が高い層に支持されるブランディングを展開。
成功要因と狙い目ポイントの共通点
上記3事例に共通する成功要素:
• 主流の新技術・サービスの登場により派生する隙間を早期に発見し、参入障壁の低い領域を狙った。
• 対象を明確にした(例:中高年層・地域密着型・環境意識の高い若者など)
• 主流業種が「手間を惜しむ」「コスト的に見合わない」と判断するサービスを積極的に展開。
• 「SDGs達成」という分かりやすい社会貢献イメージで行政や社会からの後押しが得やすい。
まとめと今後の戦略ポイント
• 主流産業の技術革新や社会課題への解決策には常に隙間が存在。
• その「隙間の市場」にこそ、中小企業や新規参入者のビジネスチャンスが潜む。
• 「地域密着」「非デジタル世代への対応」「環境意識の高い特定層」といったターゲットの絞り込みで、
参入しやすく継続的収益が見込める。
• 「SDGsという社会的大義名分」を持つことでマーケティングが容易になり、行政や企業との連携もスムーズに進む。